翻訳だけでは売れない理由 〜ローカライゼーションの重要性〜
- Mitsu Itakura

- 3 時間前
- 読了時間: 6分
「アメリカ向けに英語版のウェブサイトを用意しました。でもなぜか売れません・・・」
日本からアメリカ進出を考える企業様から、そんなご相談をいただくことがあります。
サイトを拝見すると、綺麗な英語に翻訳されており文法も間違ってません。それでも、「なかなか問い合わせが来ない」「アクセスはあるのに売れない」という悩みを抱えている企業は少なくありません。
その問題を解決する鍵は、もっと根本的なところにあります。重要視すべきポイントは「翻訳」と「ローカライゼーション(現地か)」の違いを知ることです。

言葉は伝わっても、「価値」が伝わらない
例えば、日本では「職人が心を込めて丁寧に作っています」「創業100年」「伝統の製法」「素材へのこだわり」という一文だけで、その商品の品質を想像できます。
どんな伝統技術を使っても、どんな製法、どんあこだわりがあっても、現地消費者としてのアメリカ人にとっては「それで私にどんなメリットがあるの?」が伝わらなければ、購入にはつながりません。
これは文化の違いと多人種ゆえの常識の違いであり、どちらが正しいという話ではありません。相手が違えば、価値の伝え方も変わる。直訳では伝わらない「価値」を相手の視点で客観的に捉える必要があります。
アメリカの消費者が欲しいのは、商品説明より「判断材料」
特に日本の伝統工芸品や職人系の商品を売りたい場合、商品説明だけでは購入の決め手にはなりません。なぜなら、多くのアメリカの消費者にとって馴染みのないものがほとんどで、その価値を判断するための材料となる知識や経験を持っていないからです。
レビュー(他社の利用実績)
配送日数(配送エリアなども)
返品ポリシー(その際の送料負担なども)
送料(重量があるものや大きいものは特に)
FAQ(トラブルシューティング)
ブランドストーリー(共感や信頼感)
原材料(環境に配慮した姿勢や社風)
スペック(cm → inch, kg → lb などの表記)
サイズ感(標準サイズのズレやXXLなど大きさの範囲)
使い方(日本人には当たり前でも丁寧な利用方法があると良い)
その商品があるより良い生活のイメージ(利便性やメリット) など
これは、BtoC向けのECサイトに限らず、BtoBも含むコーポレートサイトでも同じです。
相手の価値観で話すコミュニケーション設計
ローカライゼーションとは、相手を理解することから始まります。言葉を訳すのではなく、伝えたい想いを、相手が理解できる形に置き換えること。
その商品があることで、
「どんな不安や課題を解決できるのか。」
「どんな喜びや満足感を与えられるのか。」
「どんな手間や無駄時間を減らすことができるのか。」
その本質を理解した上で、アメリカの文化や価値観に合わせて表現できて初めて、ローカライゼーション(現地化)になるはずです。
日本らしさを強みに変える
これまでの話を極端に捉え過ぎた例として「アメリカ向けにするなら、日本らしさをなくした方がいいですか?」そんな質問を受けることもあります。
ゼロハチロックとしての答えは、むしろ逆。日本らしさは、大切な強みです。ただ、そのままでは伝わらないことがあるので、伝わる形に変えることが大切だと考えます。
例えば、「おもてなし」という言葉があります。これを単に “Hospitality” と訳しても、日本人が思う奥ゆかしさを持った繊細な意味までは伝わりません。
その場合、
“We believe every customer deserves thoughtful care from the moment they discover our products to the moment they enjoy them.”
のように、「商品を知った瞬間から楽しむ瞬間まで、丁寧にケアする想いを届ける」という考え方として表現することができます。
また、「旬」「四季」「素材へのこだわり」「贈答文化」「職人技」といった日本的な価値も、一語で訳すだけでは伝わらない深さを持っています。相手が理解しやすい事例や言葉に置き換えたり、その背景や体験を説明した方が伝わりやすくなります。
大切なのは、日本文化そのものを説明することではなく、その文化が消費者にとってどんな体験や満足感をもたらすのかを伝えることです。

ローカライゼーションはマーケティングの第一歩
ローカライゼーションは、マーケティング全体に関わる最初に行うべき重要な作業です。
同じ商品でも日本人の利用の仕方(使う、食べる、試すなど)とアメリカ人の利用方が違う場合があります。日本人はお寿司にクリームチーズを合わせる発想がそもそもありませんが、アメリカ人にとってはお米とサーモンとクリームチーズは美味!となる場合もあったりします。
「どんな人におすすめなのか」「どんなシーンで使うのか」「購入するとどんな体験が得られるのか」を現地のアメリカ人の目線と体験を元にして伝えることが大切です。
そしてライフスタイルの違いを認識すること。日本では白背景の商品写真だけでも成立することがありますが、アメリカ市場ではライフスタイル写真が重要になることが多くあります。実際に使っている様子、食べているシーン、ギフトとして贈る場面などを見せることで、消費者は購入後のイメージを持ちやすくなります。
ソーシャルメディア(SNS)での投稿によるブランディングも同様です。商品の説明だけを投稿するのではなく、ブランドの背景や作り手の想いを伝えつつ、現地の人の使用シーン、現地スタッフの声、実際の消費者体験などを発信することで、共感と親近感が生まれます。
もう一つ、CTA(Call to Action)、つまり次の行動を促す言葉も重要です。例えば “Shop Now” “Discover More” “Explore the Collection” “Find Your Favorite” など、目的に合わせた表現を選ぶことで、ユーザーの次の行動を後押しできます。
ローカライゼーションとは、言葉だけでなく、その商品の利用イメージ、ライフスタイルの提案、共感できるストーリー、購入までの導線、消費者体験のフィードバック設計まで含めて現地に合わせることが重要なのです。
最後に
海外進出というと、多くの企業が「何を売るか」を考えます。もちろんそれも大切です。でも、本当に大切なのは「どう伝えるか」なのではないでしょうか。どれだけ素晴らしい商品でも、その価値が伝わらなければ存在しないのと同じです。
相手を理解し、その人の価値観に合わせて伝えることができれば、日本の商品やサービスには、アメリカでも高水準のもの秤りだと思います。「ローカライゼーション」に本気で取り組むことが、海外市場で売り上げを最大化することに繋げるマーケティングの第一歩となるはずです。
ゼロハチロックでは、アメリカ進出のお手伝いとしてローカライゼーションサービスをさせていただきます。その他、アメリカでのデジタルマーケティングに関してのご相談はこちらからお気軽にどうぞ。






