ブロックチェーンが台帳管理システムとしてはいくつかのメリットがある事は前回までで説明しました。今回は何故この技術がこれほど騒がれるのかについて話します。
一番大きいのは近年の商業形態の変化だと思われます。それはKindleやiTunesによる本や音楽などのデジタルコンテンツの購入で、物としての本やCDを購入しないという意味ではありません。例えばKindleで本を買うということは、その本を読む権利を購入するという事です。Kindleの規約にも「コンテンツプロバイダーからお客様にライセンスが提供されるものであり、販売されるものではありません。」と書いてあります。Amazonで販売禁止になった本がユーザーのデバイスから勝手に削除されたという話もありました。携帯のアプリも基本的には同じようなものです。
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コンテンツを使える権利を管理するのは、台帳で十分です。つまり、Kindleのような商品形態が増えるほど、ブロックチェーンの応用範囲が広がります。これは従来のシステムでも出来ない事はないですが、例えば音楽や写真のようなアーティストが参加する場合は、ブロックチェーンのような透明性の高いシステムの方が喜ばれます。音楽配信サービスのSpotifyなども、ライセンス料の支払いでアーティストと揉めるケースが多々あります。しかし、ブロックチェーンのように実質的な管理者が存在しない場合、より透明度の高いライセンスのルールを決める必要があります。
また、野口悠紀雄氏が指摘しているように、自動運転が実用化されたらUberなどは全て自動運転になります。例えば、携帯のアプリで行き先を入力すると自動運転車が迎えに来てくれますが、この車を開ける鍵にも携帯を使います。これも車を使う権利を購入していると言えますし、決済は全て電子的に行われます。
当然、デジタル商品が増えればビットコイン等を利用するケースは増えます。それ以外にもおサイフケータイのような支払い方法が市民権を得ているのも、デジタルマネーを使う場面を増やしています。このようなインフラを支えているのが、このコラムのテーマでもあるクラウドです。おサイフケータイもIoT商品と言えますし、ビットコインもアプリで支払いが出来ます。
ただしビットコインは本来の目的を離れた次元で大いに盛り上がっている感はあります。ビットコインの分裂は暗号化をするコンピューターを運営する組織の力が強くなった事が一つの理由であり、結局は特定の団体が強い影響力を持ってしまう事が証明されてしまいました。今後、ブロックチェーンを使うシステムはこの点をどうクリアするかが大きな課題だと考えられます。
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Written by plsplsme
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